バイオリンの乾燥に関する一問一答
2025.12.01

こんにちは。葉加瀬アカデミー専属バイオリニストのAyaです。

秋〜冬のレッスンで、楽器をケースから出した時に「あれ?なんだか音が違う…?」という声をよく聞きます。

夏場は湿気の影響で、割と音がこもってしまうことが多いです。
秋以降は空気が乾燥するので音が鳴ってくるようになるのですが、乾燥すると弦が戻りやすくなったり、弓が異様に張ったりとトラブルがあることも事実です。

バイオリンは、まるで生き物のように季節の影響を受けます。
しかし、ちょっと気にかけてあげるだけで、トラブルを未然に防げる楽器でもあります。

今回は、バイオリン初心者の方や保護者さんからよくいただく“バイオリンの乾燥に関する質問”を、一問一答形式でまとめてご紹介します。

①加湿器はずっとつけてていいの?

→基本は大丈夫ですが、当て方に注意です。

加湿器の蒸気が楽器に直接当たると、部分的に湿りすぎて逆効果になりますので、蒸気に近づき過ぎないようにしましょう。
部屋の空気全体を潤す“間接的な加湿”が安心です。

私のお勧めは、ペーパー式の加湿器です。蒸気が出ないため安心して使えます。このタイプだと楽器の近くに置いても安心です。

②バイオリンを弾いている時に、ケースに水のコップを置いて加湿するのはダメ?

→NGです。

水分が直接楽器に触れると、ニスが曇ったり木が傷む可能性があります。
必ず専用の湿度調整剤を使ってください。お勧めは1年中使える「モイスレガート」というシートです(有効期限2年間)。

③弾いていたら弓の毛がすごい張っていた!なぜ?

→冬の乾燥によくある現象です。

乾燥すると弓の毛が縮むため、いつもの力でねじを回すと張りすぎになります。
弾いている時にもし張り始めよりも張ってきたら、少し緩めるようにしてください。

私は結婚式場で弾いた時に、弓の木の先端が折れてしまったことがあります。それだけ乾燥は怖いので、こまめに弓の張り具合をチェックしてみてください。

④家に湿度計は必要?

→あると安心です。

体感だけでは湿度は分かりにくいので、1つあると管理がラクになります。高価なものではなく、デジタルで十分です。

⑤乾燥で「割れ」が起きやすい?

→特にトップ(表板)は要注意です。

乾燥で木が縮むと、表板に細い割れが入ることがあります。
もし「急に音が変わった」など違和感がある時は、早めに工房へ持っていきましょう。

⑥練習したあと、楽器を拭きすぎるのは良くない?

→ゴシゴシ拭きはNGですが、軽く拭くことをお勧めします。

松脂を強くこするとニスを傷めることがあります。
乾いた布で「やさしく一拭き」がちょうど良いケアです。

⑦持ち運びのときに気をつけると良いことは?

→寒暖差に注意です。

冬の屋外と、暖房の効いた室内の温度差が大きいと、木が急に縮んだり膨張したりします。
コツは、外から帰ってケースをすぐには開けず、10〜15分置いて温度を馴染ませると安全です。

⑧家で楽器を置くのはどこがいい?

→暖房の真横や窓際に置かないようにしましょう。

普段生活しているリビングに置くのをお勧めしています。
納戸や北向きのお部屋など、乾燥していたり温度差が大きい場所は避けるのがベストです。

⑨お勧めの乾燥対策は?

→夏が蒸し暑かったので、除湿剤がケースにそのまま入りっぱなしの方も多いのではないでしょうか?今すぐ取っていただきたいです。

・モイスレガート
夏と冬で入れ替えが面倒という方にお勧めなのが、「モイスレガート」です。
2年間使えて、ケース内にずっと入れておくだけで湿度を一定に保ってくれるシートです。
いつ入れたか直に記入すると替え漏れがないと思います。

・ダンピット
緑のチューブで、水を含ませて拭き取り、f字孔の穴に入れます。これだけで随分私は変わりました。

いかがでしたか?
5-6年ぶりにケースを開けてみたら駒が倒れていた・ネックが外れそうということがあった方がいました。
ケース内に湿度調整剤を入れておくだけでも、弦が戻ってしまったり駒が倒れることはだいぶ防げますので、こまめにケース内を確認していただければと思います。

※この記事は、葉加瀬アカデミー専属バイオリニストAyaさんが書いた原稿を、担当者が編集したものです。

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